平成日本紀行(218)珠洲 「狼煙の禄剛崎」 .
日本列島中心表示碑
禄剛崎方位表示
この先、曽々木トンネルの道路サイドには「垂水の滝」というのがあり、落差35メートルの滝水は荒磯へ直に流れ落ち、押し寄せる潮風によって飛散している。
厳寒の候には、季節風により白い波頭が岩に砕け、渚一面にふんわりとした綿花状となって、風に吹きちぎられる、土地の人は「波の花」と呼んでいるらしい。
この辺りから町域は珠洲市(すずし)となる。
国道249は更に荒々しい海岸を進み、前記の平時忠の配流地・大谷の地で内陸の大谷峠を越えて恋路海岸の飯田へ向かっている。
小生は、このまま県道28号の海岸沿いを進み、能登の最先端「禄剛崎」へ向かう。
日本周遊の中で、全てが海岸に面している国土において岬は付き物である。
しかも、自然景観に優れている岬巡りは楽しみの一つであり、そして概ね、この岬には概ね灯台が配置されていて、こちらも必見なのである。
こちら能登半島の突端に立つ禄剛埼や灯台は、避けては通れないチェックポイントである。
木の浦のS字カーブを過ぎ、折戸の海岸を過ぎると能登の最先端の港・狼煙漁港へ着いたようである。
このまま進むと港海へドボン・・!、と落ちそうなくらい道は海岸埠頭へ接近していた。
防波堤に囲まれた港は波音なく静まりかえり、既に今日の仕事を終えたのか十数艘の漁船が岸壁に係留たっていた。
人の気配は全くなく、能登先端の静かな漁港である。
地域名で狼煙(のろし)というのはすごく珍しい地名のようであるが、何か曰くは有りそうだ・・?。
日本地図をみると、本州の太平洋側に比べると日本海側は比較的凸凹が少ない。
そのなかで突出して目立っているのはが能登半島である。
その大きな出っ張りは、航海者にとっては紛らわしかったであろう。
何故かと言えば昔の航海は、陸地からは余り離れず、陸の地形を頼りにしてのである。
半島の大きな出っ張りは、目印にはなったが、又、一方面倒な存在でもあった。
特に、夜間や天候不順の日は目印が必須であった。
この高台の岬には以前は大きな狼煙台があったに相違なく、 それがこの地域の名称になって残っているのは納得である。
現在の珠洲(すず)という地名は、「すすみ」(古訓で狼煙・のろしのこと)に由来するとも言われ、それに因んで狼煙町、狼煙港、狼煙海岸などの地名が今に残っている。
この狼煙は1883年(明治16年)に白亜の石造灯台・禄剛埼灯台が建設されるまで活躍していたという。
実際に、地元氏神の三崎権現(現在の須須神社:これより2km先の寺家地区)には、大昔から狼煙を行っていたという伝承も残っているという。
港の後背部は岬の高台になっていて「禄剛崎」(ろっこうさき)という。
先端には禄剛崎灯台も有るはずで、港の海岸を一当たり見渡して、近くの商店に伺いをたてると、「歩いたッで、すぐそこでぇ・・」と返事が返ってきた。
車を港の岸壁に置かせてもらって、カメラ一っ丁で出向いた。
5~6分あるいたところで、東屋のある原っぱへ出た。
やはり展望は抜群であり、前方左右で外浦、内浦を分ける岬の先端に居ることを実感する。 その又先端に貫禄十分の灯台があった。
囲いで囲ってはいるが、門構えがあって「能登半島国定公園・禄剛崎」とあり、「禄剛崎灯台」と両門に掲げてある。 灯台の他に送信等と思われる鉄塔が建ち、そこに・・、
『ここは能登半島の最北端で、ちょうど外浦と内浦との接点にあたるところです。「海から昇る朝日」と「海へ沈む夕日」が同地点で眺められろ貴重な場所であります。又、晴れた日は、立山連峰から佐渡島が遠望できます。この灯台は・・』と記されてあった。
又、下の駐車場の案内板には「最果ての地・狼煙町」と書いてあったけど、灯台の近くにあった碑には「日本列島ここが中心」と書かれている。
版図には禄剛埼を中心に円が描いてあり、その中にすっぽり日本列島が収まっているのである。
実際に地図上で能登・禄剛埼を中心に円を描くと、ほぼ北海道の中央部から九州の中央部が円の線上に位置している。
小生は、日本一周で北海道の稚内(宗谷岬)から、九州南端の佐多岬を巡りつつ現在、禄剛埼に立っているが、この位置が日本の中心というのは一種、感慨深いものがある。
この一角に“面白い標識”があった・・、
『東京・302km、上海・1598km、釜山・783km、ウラジオストク・772km』とある。
輪島の項でも述べたが、やはり能登からウラジオ・・へは近かったのである。
周辺は一部石畳など敷かれ芝生が植えられた広場になっていて、ゆっくりと寛ぐことがでる。灯台近くの崖の斜面に生えている木が斜めになっているのは、季節風による厳しい吹き付けによるのだろう、今は穏やかな雰囲気が味わえる岬である。
次回は、「禄剛崎燈台」
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