2009年5月18日月曜日

日本周遊紀行(25) 「世界遺産 白神山地3」

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世界遺産の概要


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地図の色が緑の濃い部分は中央部の「核心地域」、薄い部分が周辺の緩衝地域、その他の地域は白神山地を表わしている。(Web 東奥企画・提供)


ブナ林は北半球の冷温帯を代表する林である・・、

青森と秋田の両県にまたがる白神山地には、このブナ林が世界最大の広さで残っている。 しかも、中心部は伐採などの人手が全く入っていない原生的な状態のままで。
全体の面積は13万haでそのうち約1万7千ha(169.7km2)がユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されているが、青森県側の面積はそのうち74%の126.3km2を占め、残る43.4km2は秋田県北西部に当たる。

世界自然遺産の地域は、中央部の核心地域と周辺の緩衝地域に分かれていて、これらの何れの地域も世界遺産登録時より開発を行わず、現状のまま保護されることになっている。
従って、これらの地域には遺産登録以前からあった登山道以外には道はなく、今後も恒久的に整備されない予定であり、特に核心地域には道らしい道はないという。 

また、青森県側の核心地域に入るには、事前、あるいは当日までに森林管理署長に報告をする必要があり、又、秋田県側の核心地区は原則的に入山禁止である。 核心地区は林道すらないので、そこを踏破するには極めて高度な登山技術などが必要とされ、世界遺産に登録されてから以降も、核心地区での遭難事故の発生もあり、死亡者も出ているという。
位置は、青森県側は、西津軽郡鰺ヶ沢町、深浦町、岩崎村、西目屋村、秋田県側は藤里町で標高300m~1243mの主稜・向白神岳に及ぶ山岳地帯である。


白神山地の特徴・・、

白神山地の誕生は今から約200万年前に始まった日本海の隆起に起源すると言われ、その特徴であるブナ林の誕生は、凡そ8千年前の縄文時代の草創期であるとされている。
白神山地が世界自然遺産に登録された理由、それは人の影響をほとんど影響を受けていない原生的なブナ天然林が世界最大級の規模で分布していることにある。 
このブナ天然林には、ブナーミズナラ群落、サワグルミ群落等をはじめ多種多様な植物が生育し、高緯度にもかかわらず、ツキノワグマ、ニホンザル、クマゲラ、イヌワシ等をはじめ非常に多くの動物が生息しており、白神山地全体がまるで森林博物館とも云われる。


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写真:ブナの原生林


「白神山地」は、広大な原生林である「ブナ林」・・、
「白神山地」の特徴は、殆どが「ブナ林」に覆われていることである。 
白神山地には人間活動の影響をほとんど受けていない源流域が集中し、世界最大級といわれるブナ林が広域に渡って、ほぼ原生そのままの姿で残されている。 そのブナ林内には多種多様な植物群が共存し、それに依存する多くの動物群が育まれ、自然の生態系がありのままの姿で息づいている。山地は、名勝地のような美しい高山植物や雄大な景色を眺められる場所はあまり多くはなく、市街地のそばにある林のようなブナ林が巨大化したものと考えるのが妥当といえる。
世界遺産の登録は、観光地であるからではなく、このような広大な原生林が世界的に珍しいためなのである。

ところで、「ブナ」(山毛欅)とは・・、ブナ科ブナ属の木で落葉広葉樹、温帯性落葉広葉の樹林を構成するとあり、椎茸栽培以外にはあまり役に立たない木であったために伐採を免れたと言われる。
ブナは沢山の小さな実を付けるために、果樹と同様に寿命がさほどでもなく、平均寿命は200年ほどであると言われている。 自然に放置して倒れたブナは、他の樹木や生物の生存に欠かせない栄養分を供給する。 
「白神山地」のブナの原生林は樹齢の若いもの、大木、老木、倒壊し朽ちたものまであらゆる世代が見られるが、400年以上のものも確認されている。
 

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写真:地衣類が密生するブナの大木・・、葉や枝に付いた雨水は、この幹を伝って地面に落ちる。


小生、若い時分より山歩きが趣味で・・、
里山から深山まで山様というか、山の特徴は素人目よりは承知していると自負しているが・・、ブナの樹皮には地衣類(菌類と藻類との共生体:共生しつつ樹皮・岩石に着生する)やコケ植物が付着生育している。 それは樹皮が剥がれ落ちないというブナの性質による要因も大きいが、幹を雨水が流れ落ちることも関係が深い。 降雨時にブナ林を歩くと、幹に勢いよく雨水が集まって流れているのに驚かされる。

更に、ブナの樹形は、水を集めるようにできている・・、このような幹を伝う流れを「樹幹流」といい、この樹幹流は単に雨水が集まって流れているのではなく、栄養分が多く含まれているのである。 ブナの樹幹を伝わって流れてきた水はブナの根元で地中に吸い込まれ、地表を流れる水は見えなくなってしまうい、地面に吸い込まれていくのである。 ブナ林の土壌は豊かであり、黒い土の中にまるでスポンジに吸い込まれていくように雨水が吸い込まれていく、一般にこれらの土壌を「腐葉土」という。

ブナ林の発達する冷温帯は、夏の間は結構気温が高いので植物の生産性は高い。 しかし、暖温帯に比べて有機物の分解速度は遅く、差し引きとしての有機物の蓄積度は最も多い地域である。 
この厚く積もった有機物を多量に含む土壌が大量の水分をため込むことができるのである。 無論、土壌動物もたくさん生息しており、土壌構成を良好なものにしている。 ブナ林は「緑のダム」とも呼ばれるが、それは地上部の植物部ではなく、ブナの作り出した豊かな土壌が雨水をため込むのである。
又、動物の餌となる植物も多く、他の森林に比較して豊富な動物が生息している。

秋田県食品研究所が1997年(平成9年)に関係機関の許可を得て遺産地域指定区域1200箇所から試料の採取を行い遺伝資源の中でも、食品素材としてさまざまな働きをする「酵母」を採取することに成功し、最近は「乳酸菌」も発見されたという。

森林は、森全体が巨大な天然ダムになり、森から流れ出た清流は大地を潤し、海に流れて豊かな漁場を生み出し、又、森林は炭酸ガスを吸収し酸素を供給してくれる。
八千年を生き抜いたとされるブナは、当時は「何の役にもたたない木」とされてきたが、今は、森林を守る大切さを我々に教えてくれる。
因みに、世界の森林は陸地面積の26.6%(1995年現在資料)であるが、日本の場合は国土のほぼ70%が森林に覆われているといい、この恵まれた森林を後世に残していくことが、今に生きる我々に課せられている。

以上、自然のままの白神山地は、自然の大切さを、我らに教訓しているのである・・!。

【終】   ホームページ「白神山地」へ

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