(フェリックス・メンデルスゾーン;作曲家)
平成日本紀行(216) 名舟 「棚田と御陣乗」 .
その名も「白米の千枚田」
奥津姫神社の海上鳥居
国道249を更に半島先端へ向かって行くことにする。
海岸とはいっても、斜面のかなりの高台を走るのであるが、深見を過ぎた辺りからは山が迫ってくる感じで、道程も急峻さを増してきた。
「千枚田」という小さな休憩所にやってきた、正確には「道の駅 千枚田ポケットパーク」という。
レッキとした道の駅だが小島商店という看板が掲げてあり、個人商店のドライブインといった感じである。
ただ、ドライブインにしては食堂などはなくチョット寂しげであるが、ここは高台だけあって見晴らしは素晴らしい。
海岸沿いの急斜面に、無数の小さな水田が階段状に連なっていて、その向こうに日本海の大洋が広がっていて、末端の基部の水田などは大洋の波が洗っているようにも見える。
説明のよると能登の「名勝・千枚田」といわれる棚田で、実際に1000枚の棚田が存在するともいう・・!。
一つ一つが小さい田代で、それが幾重にも重なり合って棚田が形成されている、真に人々の生に対する執着が、このような労作を造りだしたのであろう。
今でこそ我々は観光地化された当地を「いい眺め、まさに絶景」などと言って満足しているが、先人達の弛まぬ労苦も知るべきであろう。
2006年5月に当時の小泉純一郎首相がこの地を訪れ、「絶景だよ、絶景」と褒め称えたエピソードは、地元マスコミで大きく取り上げられた。
これに因んで、同年秋に収穫されたコシヒカリは『絶景千枚田』の名で商品化されたともいう。
今はまだ、田代の面には緑の幼い穂がのぞいているにすぎないが、刈り入れの時の秋季ともなれば黄金の波がそよぐに違いない。
現実の作業は、急斜面の狭い田んぼで農業用機械が入らないため、田植えや稲刈りは全て手作業であるという。
しかも、農家の高齢化や後継者難で休耕田も増えたため、昨今では輪島市や農協の呼びかけでボランティアによる田植えや稲刈りが始まり、併せて景観保全が図られているという。
この時期になると有志者によって、棚田の中で結婚式も行はれると言う。
併せて、参列者や希望者には」ボランティア等による稲刈りも行なわれるという。
千枚田での結婚式は、中央部に特設ステージを設けて、招待者、関係者、それに野次馬・・?あわせて盛大の行われ、千枚田の神様に見守られながらの新しい人生をスタートする。
二人にとっては思い出の記念になろう。 実りの棚田が二人を祝福するように、総出の稲刈りと併せて、収獲時の一つのイベントになっているようだ・・!。
この一帯の地域名称は「白米地区」(しろよねちく)といい、これぞ取って付けたような、これ以上ない地名である。
国指定名勝で「日本の棚田百選」にも選ばれている。
ここから、一投足で「名舟の海岸」に出た。
気が付けば、防波堤防の内側海中に鳥居が屹立している。
そして、それに対するように、山側には急な階段の上、鬱蒼とした森に「奥津姫神社」(名舟神社)が鎮座していて、前記の「御陣乗太鼓」で有名な「名舟の大祭」はこの神社で行はれる。
7月31日夜、海上に建立された鳥居まで漁船に乗った神輿五本が、「キリコ」(※)とともに行進を始め、海上を渡御する。
これは舳倉島(みくらじま)から奥津姫の神様をお迎えする意味があるといい、奥津姫神社に到着した後、子供組から若衆組と御陣乗太鼓の奉納打ちが披露される。
神社近くに設置された舞台で迫力満点・御陣乗太鼓の奉納本番打ちが行われると祭りは最高潮に達する。
※「キリコ」とは・・、能登地方の夏秋の祭礼には、各町内からキリコと呼ぶ巨大な御神灯を神輿のお供に担ぎ出す習慣がある。
キリコとは「切子燈籠」のことで、「切籠」がキリコと略されたようである。
始めは、手持ちの御神灯であったが、徐々に大型になり、江戸時代中期以降になって、高さ10mをこえる大型で豪華なキリコが出現したといわれる。
現在でも、能登地方の夏秋の祭礼には大小あわせると7、8百本ものキリコが用いられ、信仰心の篤い能登の土地柄をあらわしている。
夜空をいろどるキリコの姿は形容しがたい美しさを秘めているともいう。
次回、「曽々木の時国家」
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