google.com, pub-6886053222946157, DIRECT, f08c47fec0942fa0 日本各地の美しい風土を巡ります。: 平成日本紀行(215) 輪島 「輪島塗」

2018年1月29日月曜日

平成日本紀行(215) 輪島 「輪島塗」


.「長旅はつらいが、楽しみのがビール待っている」







平成日本紀行(215) 輪島 「輪島塗」 .






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朱色の漆塗りに「輪島漆器」





道の駅・輪島、「ふらっと訪夢」の和風造りは、地場産の集成材(多数の板材・角材を接着剤で接合して作った木材)を利用し、内部の柱には「漆」(うるし)を施し、「輪風」(外観の切妻屋根と格子に代表される輪島らしさ)を表現して輪島地方の文化、伝統の発信拠点にしているという。 物産館も併設してあり、中には「輪島塗」の品々が陳列してある。


輪島塗、輪島漆器は全国でも屈指と言われる。
漆器はお茶の道具、箱物、膳物、椀物、盃物と日用品から趣向品、飾り品から工芸品まで多種多様で、製品は世界共通語の「ジャパン・メイド」と呼ばれるほど有名な器であるとか。 
漆器は、古来から日本が世界に誇れる最も素晴らしい工芸品であり、日本の誇るべき伝統文化でもある。


輪島塗の塗装素材は漆である。 
漆は、ウルシの木の樹液で、古来は主として塗料、塗装剤のほか接着剤としても用いられている。


私事ながら、幼少の頃、漆の木を切って、皮を剥いて、刀を作り、チャンバラごっこをして遊んだ。 そんな幼少の頃は、漆の木や樹液で「かぶれる」などということは露ほども知らなかった。 手の平に付いた黒い物(漆の液が汚れたもの)は、石鹸でいくら洗って も落ちることはなく、数日経ったら手足の皮膚といわず、顔から股座、チンポまで、荒れに荒れ、膨れに膨れて散々な目にあった。 後日、医者で診てもらったら「漆のかぶれ」ということが判明した。 その後も、これ程でなかったが、数回軽い炎症を起こしたのを記憶している。 漆の樹液は人によって“被れる” (かぶれる)のである。


漆は、漆の木から採取される樹液で、天然の高分子化合物であり、化学的にはフェノール系の樹脂で、防腐剤のクレゾールなどと同類だという。 
弱い体質の人が漆にかぶれるのは、フェノール系の物質が皮膚のタンパク質と反応して起こるアレルギー現象という。

漆は酵素と反応して硬い皮膜をつくる性質があり、硬化する温度(25℃)と湿度(85%)が必要なので、謂わば、カビの発生しやすい環境が漆の硬化に最適という。 
然らば、日本の気候にピッタリ当てはまるのである。 

熱硬化性プラスチックのフェノール樹脂と同じ現象で、昔は鉄砲や大砲、鉄鍋などに、錆び止めとして使われていたらしい。 
漆は酸やアルカリ、塩分、アルコール等に対しての耐薬性、それに防水、防腐性もあり、電気に対する絶縁性もある。 

更に、浸透力が有りその塗膜が乾固しても、中で酵素が生き続けていて、表面の色艶が褐色から徐々に透明感を増し、美しい色合いへ鮮やかに変化するという。 
これは千利休が求めていた美の世界の「わび」とか「さび」に通じるものだという。
 

数千年も前から食器類をはじめとする日用品や船舶、建築物等に塗料として広範囲に利用され、そのルーツを辿ると何と足長蜂にたどり着くという。 
足長蜂の巣の付け根の部分に黒いものが固まっているのが漆であり、自然の中で蜂は本能的にそのことを知っていたのである。 
それを知った人間が狩猟の時に使う鏃(やじり)の取り付け、部分接着剤として利用したのが人と漆の出会いの始まりと言われている。 
その後、食文化と共に発展をしてきた訳で、漆と漆の技法は大陸の仏教文化や食文化と共にシルクロードを経て日本に伝えられたという。 正倉院宝物や法隆寺の宝物館には、それを窺い知ることができるという。
 

漆:うるしの語源は「麗し(うるわし)」とも、「潤し(うるおし)」ともいわれている。
漆の艶や塗り肌を表現したもので、日本の永い歴史の中で漆が愛され続けられたことが言葉の中に残されている。 
知れば知るほどに不思議で奥の深い漆は、自然の天然素材で地球環境にやさしい無公害の塗料とのことで、中国をはじめアジアの各地で遥かな昔から生活のなかに取り入れられていたようである。 
漆の木からにじみ出る樹液は、枝が折れたり、虫や動物に傷つけられた時、手も足も出ない漆木は、漆汁をにじみ出して傷を直そうとする。 
自然の治癒力であり、人が怪我をした時にできる「カサブタ」に相当するもので、人間がこの現象を逆手に取ったのである。 

成木になった漆木に欠き傷を入れて、滲み出てきた樹液を人間が取ってしまい、治癒出来なかった漆木は、やがて枯れる運命にある。
天然漆は環境に敏感である。 
従って、日本では国産漆が塗りやすく、また仕上がりも美しいといわれる。 

しかし、産出量は年々減少傾向にあり、いまでは輸入漆液で需要の九割以上を補っているのが現状だという。 
漆器の品質は、国産漆をどれだけ使うかが一つのバロメーターといわれるが、ここ輪島は国産漆を最も多く使っている漆器の産地として名高く、近年、塗師達は自家用として自宅で漆木の栽培を始めたといい、これも輪島の「本物志向」の表れである。 
輪島の漆木は、能登の気候にも合っているのかもしれない。


次回は、「輪島・朝市
01. 15.

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