google.com, pub-6886053222946157, DIRECT, f08c47fec0942fa0 日本各地の美しい風土を巡ります。: 新・日本紀行(44)岩内 「雷電海岸と岩内大火」

2012年7月28日土曜日

新・日本紀行(44)岩内 「雷電海岸と岩内大火」

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新・日本紀行(44)岩内 「雷電海岸と岩内大火」   .



国道229号線を岩内方面に向かうと、又々、山が迫って険しくなり、トンネルも多い。
ここは「雷電海岸」といい、積丹半島の西側の付け根に当る岩内町と蘭越町の町境でもある。

スキーのメッカ、「ニセコ」の山塊が連なってきて、その西の端が代表的な山「雷電山」(1212)であり、この山の腹が強烈な断崖絶壁となって日本海にナダレ落ちているのである、謂わば荒々しい岩石海岸である。
近年になって急峻な山肌に辛うじて道が付けられているが、新道を含め道路も整備されて新しいトンネルも次々完成しつつあり意外と走り易い。 

長い「刀掛トンネル」(2754m)を抜けると「雷電温泉」の看板が立ち、数軒の旅館、ホテルが海岸の岩場にへばり付く様に点在する。 
更に、ここより雷電山のそば、雷電峠の山道をおよそ3kmほど入った山中に、現代文明から隔絶された一軒宿の「朝日温泉」がある。


江戸末期の創業と言われる古宿で、かつて海岸国道が出来る以前は、この峠を越えて岩内に到ったもので、山越えする人々のための峠の茶屋や駅逓が置かれていて随分とにぎわったという。 
国道の開通に伴い、当時の趣のまま秘湯として山中に残されたらしい。 
この地は今でも携帯電話、普通の電話も使えず、電気も通じず自家発電機に頼らざるを得ないという、野趣あふれる山の湯である。


水上勉の推理小説・「飢餓海峡」は、洞爺丸遭難事故と岩内の大火をネタにしたものであるが、この朝日温泉も登場する。 

昭和30年代頃までは山間を上下する大変な道だったようで、あの岩内の大火の後の様子を小説は、『 朝日温泉は雷電山のふもとにあった。  宿は石ころ道と川をはさんで、とびとびに建っていた・・、』と、 作中、岩内で襲われた登場人物たちが、この朝日温泉で出会うのであるが。



やがて岩内に着いた。

バスセンターや道の駅、鉄道記念公園(・・?)等、岩内の中核地で、昼間ならかなり賑わう所だろうが、今はまだ閑散としている。
岩内には、かって国鉄岩内線の鉄道があって、1985年国鉄合理化の煽りで廃線になっている。


ところで、この「岩内」には大きな現代史の1ページがあった。 

1954年9月26日洞爺丸台風のさなか、岩内の街に大火が発生し、何と町の八割が消失したのである。
その日の夜8時20分頃、台風15号(洞爺丸台風)の接近で避難し、留守宅となっていたアパートから出火、岩内の町中を嘗め尽くし町全体の80%を消失した。 
この時の焼死者33名、負傷551名、消失家屋3300棟、などであった。 丘の上には今も「大火の碑」がある。


この同じ日、青函連絡船「洞爺丸」が函館湾内において、転覆遭難事故を起こし、1000人以上の犠牲者をだしている。 
世界史上稀にみる海難事故であるが、このことは函館(Ⅱ)の項で記載している。


その凡そ10年後、この岩内大火(洞爺丸遭難も同様)を背景にした、水上 勉の推理小説「飢餓海峡」が発表され、映画化もされた。映画制作では現地ロケが行はれ、地元の人は多いに協力したとか。

その主な筋書きは・・、

『 昭和22年9月20日10号台風の最中、北海道岩内で質店一家3人が惨殺され、犯人は放火して姿を消した。その直後嵐となった海で、青函連絡船の惨事が起き、船客530名の命が奪われた。死体収容にあたった函館警察の刑事弓坂は、引取り手のない2つの死体に疑惑を感じた。船客名簿にもないこの二死体は、どこか別の場所から流れて来たものと思えた。 そして岩内警察からの事件の報告は、弓坂に確信をもたせた。 事件の3日前朝日温泉に出かけた質屋の主人は、この日網走を出所した強盗犯沼田八郎と木島忠吉それに札幌の犬飼多吉と名のる大男と同宿していたのだ・・、』


人間の内に潜む心の闇を、スリラー仕立てで見事に描ききった堂々3時間におよぶ傑作超大作である。

監督・内田吐夢、出演は犯人役:三國連太郎、ベテラン刑事:伴淳三郎、遊女:左幸子らが熱演している。 
この映画の冒頭に、かっての国鉄・岩内駅が映されているが、他に青函連絡船の遭難シーンや下北半島の主要観光地である仏が浦、湯野川温泉、恐山、下風呂温泉なども登場してくる。



因みに、小生がこの地「岩内」を訪れた今日は、2004年9月26日で、奇しくも50年目のこの日に当るのである。
小生にとっても実に奇遇な日にも成ったが。

本日、当の岩内町では、何か追悼などの行事が行はれるのであろうか・・??。



次回は、「古平





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